皆さん、お久しぶりです。(ここ数回はこれで始まってばかりだな。。。)
引っ越ししてからギターの弾きづらい環境になってしまい、機材に触れることも減ってしまったのですが、久しぶりに面白い機材を買いましたのでレビューします。
今回の機材は、真空管オーバードライブの「Lee Custom Amplifier VBM-1」です。
Lee Custom Amplifierについて
LCAとは、過去にVOXのチーフエンジニアをされていたLeeさんという方が立ち上げたメーカーで、ミニサイズの真空管バッファーで有名になりました。
最近ではバッファーだけでなく真空管ODペダルも3種類発売しており、今回のVBM-1もその一つです。
ちなみに、過去にLCAの製品をレビューした記事は↓
【レビュー】Lee Custom Amplifier 12AU7BB【真空管バッファ】
【レビュー】Lee Custom Amplifier 12AX7BB
特徴について
デザイン
ケースはいつも通りの荒いヘアラインみたいな仕上げで、サイズは一般的なコンパクトエフェクターと同じサイズです。
ただ一番気になるのは…この思いっきりはみ出てる真空管!笑
高さは底から測って8.4cmくらいあります…
真空管の頭だけはみ出てるようなデザインは結構見ますが、これはずいぶんと大胆な設計ですね。
あと写真では分かりづらいですが、底との間が汚れなのか傷なのかが複数箇所あり見栄えが悪いです。私の個体だけですかね。
LCAさんがいつも使われているツマミはキレイで好きなのですが、上記の傷なども含め正直テンションの上がるようなルックスはしてないかなという感想です。
サウンド(歪みペダルとして)
Fender Bassmanの回路を元にしながらも、現代に合わせて扱いやすいように調整されているとのこと。真空管の12AX7(ECC83)を1本使用しており、DC9Vの電源を内部で150Vまで昇圧しているそうです。
音の特徴として、ゲインはやや低めに感じました。ギターがテレキャスターだというのもあるのですが、ゲインが7くらいではっきり歪み始めるような感じです。ただしP90やハムバッカーのギターでゲインを9~10まで上げれば、これだけでリードも弾けるくらいには歪むと思います。
実際に歪み方がBassmanと似ているかについては、私が実物を弾いたことがないので何とも言えないのですが、Youtubeで見ている限りでは確かに近い印象は受けました。
また注意点としてFender Bassmanがモチーフとなっているということで、粗い独特な歪み方をするので、それが好みに合うかは事前にきちんと確認された方が良いと思います(とはいえ、Fender Tweed 5E3のVolumeを上げていった時のような、ブチブチFuzzサウンドとはまた別な歪み方です。)
しかし、好みにさえ合えばGlassyとでも表現すればいいのか、とても格好良い歪みサウンドだと思います。リズムギターではクランチくらいまでならバッキングでも使えそうだし、リードギターならクランチ~オーバードライブまで幅広く使えそうです。
ピッキングニュアンスやボリュームへの反応も上々ですね。また12AU7BBにあったコンプ感等による弾きやすくなる感覚も引き継いでいます。
EQはBass、Middle、Trebleの3バンドEQですが、それぞれ効きが自然で、大きく上げ下げしても音が破綻しないので使いやすいです。
またケースを開けると内部にBright SWが隠されています。超高域がブーストされますので、ゲインが少し上がるのと歪み方も結構変わります。あと、どうしてもノイズは少し増えますね。
SWの効果としては、真空管アンプを大音量で鳴らした時の張り詰めたガラスのような高音を狙ってるのかなと思いました。よりペダルの個性が強く出る感じで、これもカッコイイですね。
アンプの個性をVBM-1で塗りつぶしたいと感じる時はBrightをONにして、アンプのサウンドを活かしたい時はOFFにするのが良いかもしれません。
基板は結構つめつめな感じ。表面実装パーツも使うことで、なんとかこのサイズに収めてるんですね。
サウンド(ブーストペダルとして)
真空管アンプのブースターとしても非常に優れていると思います!
元の音を崩さず自然にプッシュできるのが良いですね。3EQがついているので調整も柔軟にできます。
他にも真空管プリアンプペダルなんかは、真空管が1本だけの機種など単体ではゲインが稼げない物も多いので、そのようなペダルと組み合わせて使うのも効果的だと思います。
過去に紹介したPeace Hill FXのTRJMなんかは、12AU7BBでプッシュさえすれば良い感じだったのですが、それが手間に感じて手放してしまったので、あの頃にVBM-1があれば手放さなかったのに…と思いました。
idea sound product BMX Ver.1との違いについて
idea sound productのBMXも同じLeeさんが設計しており、かつ同じくBassmanがテーマになっているペダルということで、VBMはBMXの真空管Verみたいなもの?と気になっている人もいると思うので、それぞれの違いについて書いておきます。
まず、前提としてですがサウンドはけっこう別物です。
似てる部分もあるにはあるのですが、BMXは粗く歪むと同時にじわっと滲む感じもあります(そこが使いやすい。)
それに対してVBMの歪みは滲む感じがなく、もっと真空管らしい立体感のある粗さで、より使い所を選ぶ印象です。
またBMXは基本的にハイがバッキバキなサウンドですが、VBMはBrightスイッチがOFFであればアンプのサウンドバランスを崩さないようにも出来ます(ちなみにVBMでBright ONにしても、BMXのBright OFFの方がハイは強いです)
さらに弾き心地の面ですが、BMXも歪みエフェクターとしては非常に良好で、私の経験上では数少ないアンプっぽい自然さを持った歪みペダルです。しかし、わずかにエフェクターっぽい感覚は足されます。
それに比べてVBMは、ほとんど真空管アンプそのものの感触を維持できています。
結論としてはサウンドが大きく異なりますので、BMXが好きだからVBMへアップグレードとは考えずに、事前に試奏等してリサーチされることをおすすめします!
ちなみに、BMXのレビュー記事はこちら→【レビュー】Bassman系ペダル IDEA-BMX が熱い!!
プリアンプとしては使える?
Bassmanアンプを模したペダルということで、リターン挿しのプリアンプとして使えるのかが気になっている方もいるかと思いますが、試してみたところ、アウトプットできる音量は大きいのでパワーアンプの出力によってはそれっぽく使えなくもないというのが感想です。
ただ、やはりプリアンプペダルのようなトーンシェイピングをしてくれるわけではないので、締まりのない感じにはなりますね。
サウンド・サンプル
ギターはLSLのテレキャスター、アンプはDivided by 13のSJT10/20です。
LCA公式でもギタリストの有賀さんの動画もUPされてますので貼っておきます。(動画はBright ON)
まとめ
良いところ
- アンプとほぼ遜色のない弾き心地
- 真空管らしさを感じる個性的なサウンド
- 真空管アンプをプッシュするブースターとしては相性最高
- 使いやすい3バンドEQ
- DC9V(500mA)電源で利用可能
- 真空管ODでもノイズは少なめ(Bright OFF時)
悪いところ
- 真空管が丸出しのデザイン(高さが実寸で8.4cm)
- ケースを開けないとBrightスイッチのON/OFFができない
真空管丸出しのデザインが個人的には惜しいですね…、まずダサいというのもありますが、これによって少なくとも私が使っているペダルトレインもどきではケースに収まらない高さになってしまいました。ペダルトレイン系では基本的に収まらないと思ったほうが良いでしょう…
例えば他にもARMORのエフェクターケースだと、一部の型番は高さ内寸が8cmで閉まらないので注意が必要です。これだったら、真空管の幅分ケースを大きくして内部に入れてくれた方が自分は嬉しかったですね。標準ケースでちょうど良いのがなかったのか、排熱の関係などもあるのでしょうが…
あと真空管ODシリーズでは、コントロールは5つで統一するという部分にこだわりがあるのかもしれませんが、上で書いたように環境によってON/OFFしたくなるものだと感じましたので、Brightスイッチを内部SWにしてしまったのは使い勝手の面でマイナスだと思いました(ケースの穴あけ位置を統一したいとか?)
サウンドは高クオリティなので、余計に不便な点が惜しいですね…
とはいえ、久しぶりに手元に残しておこうと思えるオーバードライブでした。
同じくLeeさんが設計したShinos&LのRocketというアンプは、正直あまり良さが分からず自分の中で株がやや落ち気味だったのですが、IDEA-BMXはずっとお気に入りですし、今回のVBMも気に入りましたので、エフェクター関連については引き続き注目していきたいと思います!
音評価:5/5点
総合評価:4/5点
以上、今回もありがとうございました。
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