皆さん、お久しぶりです。(前回から8ヶ月振り…)
今回は、最近発売され話題のUniversal Audio UAFXアンプシミュレーターシリーズの中から、Fender Deluxe Reverbを再現した「Dream ’65 Amplifier」を紹介します。→代理店HP
また、多くの人が気になっているであろう、Strymon 「IRIDIUM」との違いについてもレビューしていきます。
Universal Audioについて
現在のUniversal Audioは1999年に創業者の息子さんによって再興された会社で、現在では1176コンプや610プリアンプなどの定番ハードウェアに加え、デジタル分野でもアナログハードウェアシミュレーションに定評があり、レコーディング関連分野ではメジャーな存在になっています。
HP(about us)→https://www.uaudio.jp/about
ギター関連だと2017年に発売された「OX」というリアクティブロード+キャビネットシミュレーターも有名ですね。
サウンドサンプル
YouTube
本物のビンテージアンプをマイキングしたサウンドと比較している動画があったので貼っておきます。(UAの人も参加してるのでプロモーション色の強いやつかも)
後半ではあのマテウス・アサトさんがA/Bテストで何度も外す姿が見られます…びっくりですね。
キャビネットシミュレーター ※2022/06/18:音源を全て更新しました
UAFX AMPシリーズでは、評価の高いUA社「OX」のキャビネットシミュレーション技術が使われているということで、注目していた方も多いと思いますが…
結論から言うとめっちゃ良いです!
録音環境:I/F → Radial X-AMP(リアンプDI) → UAFX Dream ’65 → I/F(ギターはFenderCS ’52Telecasterのハーフトーン)
モードはストック(無改造)のDeluxe Reverbで、エフェクトはUAFXのスプリングリバーブとDAWで書き出し時に僅かにリミッターをかけています。
※音量注意
個人的には、定番ですが①のSM57一本の音はやはり好きでしたね。他には④も2発キャビらしさがよく出ているし、ステレオの広がりもあって気に入っています。
スピーカーコンプレッションや、アンプの歪み方を左右するフィルター的な要素までをダイナミックにシミュレートすることで、ラインサウンドでの説得力は今までのIRキャビネットより明らかに一段上のレベルに達していると感じました。
また、スピーカーとマイクの組み合わせを自由にできないのは残念ですが、逆に考えればユーザーはUAが用意した正解のサウンドの中から好みのものを選ぶだけ済むので、変に悩む時間が無いのはメリットと言えるかもしれません。
mod比較(CABは全て2×12 Two-Rock)
「Dream ’65」には通常のDeluxe Reverbに加えて、同アンプのmodバージョンが選択可能で、各modごとにサウンドとBoostノブの効き方が変わります。
※音量注意
Stock:無改造のDeluxe Reverb
Stockを選択した状態では、Boostはクリーンブースターになります。
Lead:80s od special mod
Boostを0以上にするとブライトスイッチがOFFになります。また、Boostもミッドブーストになり、ツマミが12時を超えるとパワーアンプ部分の出力に補正が加わるとのこと。
D-TEX:SRV mod(Steel String Singer?)
プリアンプ部のゲインとミッドが増加します。また、Boostを上げていくとトーンスタックの効果が減り、よりオープンなミッドレンジが得られるとのこと。
クリーンサウンド
ゲイン0のクリーン設定です。
Strymon IRIDIUMとの比較
「Dream ’65」をしばらく触ってみて感じた「IRIDIUM」との違いについて書いていきます。
前段にエフェクターを繋いだ際の反応が自然
基本的にアンプシミュレーターは歪みペダルやブースターなどを前に繋いだ際の反応がいまいちな場合が多いです。
この点はStrymonの「IRIDIUM」も同じで、歪みを繋いでも音が潰れたり、ブースターでプッシュした際の反応が不自然だったりしました。(これはKemperやGT-1000COREなどでも同じ)
しかし、「Dream ’65」はこの点が他に比べて優れていると感じました。歪みペダルも潰れはあまり感じないし、ブースターでプッシュした時の反応も自然に感じます。
そのため、アンプシミュレーターをクリーン設定にして、好きな歪みペダルやブースターと組み合わせて使いたい人は特にUAFXがおすすめかもしれません。
他社のアンプシミュだと上が詰まったような感じになることが多いのですが、「Dream ’65」ではそれがあまり気にならないですね。
IDEA-BMXの紹介記事はこちら
起動に時間がかかる
アンプシミュレーターは起動までに少し時間がかかる場合が多いのですが、「IRIDIUM」で4秒くらいだったのに対して「Dream ’65」は14秒くらいかかるので、これは地味に長く感じます。それだけ内部で複雑なことをやっているということなのかな?
ちなみに、「GT-1000CORE」も試しましたがこちらも4秒くらいでした。他には代理店情報ですが「AXE-FX III MK II」が30秒弱、「Axe-Fx III MARK II TURBO」が17秒弱だそうです。
その他(長くなったので続きは↓をクリックしてください)
キャビシミュのOFFが簡単
「IRIDIUM」ではスイッチを押しながら電源を入れて~というような操作をするか、各アンプモデルごとに3つ登録できるIRのうち1つをNull cab(空のIR)にする必要がありました。
しかし、「Dream ’65」はキャビシミュの選択肢が6種類+OFFになっているので、普通にキャビシミュを選ぶのと同じ操作でOFFにできます。
キャビシミュのみを使うことができない…
「IRIDIUM」はアンプのみ、キャビシミュのみという両方の使い方ができましたが、「Dream ’65」はアンプのみは出来ても、キャビシミュのみという使い方ができません。
キャビシミュのクオリティがとても高いだけに余計に残念ですね。個人的にはこれでパワーアンプ+キャビシミュなどで使えれば最高だったのですが…
プリセット切替時の音切れがない
「IRIDIUM」の残念だった点として、プリセットの呼び出し時に音切れがあるので、演奏中の切替が厳しいというのがありました。
その点「Dream ’65」はプリセット切替時も音切れがないので、演奏中にリードサウンドのプリセットに切替えるような使い方もできますね。
MIDIに非対応…
「IRIDIUM」はMIDI対応(ジャックタイプで変換が必要だけど)でしたが、UAFXシリーズは全く非対応です。
これは他の方もみんな言ってますが、正直この価格帯でMIDI非対応はあり得ないと思いますね…UAFX第一弾のディレイ、モジュレーションとかは余計に…
ミドルEQが無い
「IRIDIUM」は3EQでしたが、「Dream ’65」はミドル無しの2EQ仕様になってます。とはいえ、Boostつまみがミドルにも影響するので音作りの幅はそれなりにあります。(※Deluxe Reverb自体が2EQのアンプなので、ミドルは無い方が元ネタには忠実)
とはいえ、ミドルが欲しくなる時も全く無い訳でははないですね…笑
ヘッドフォンジャック無し…
「IRIDIUM」は本体にヘッドホンジャックがありましたが、「Dream ’65」には付いていません…人によってはかなりのマイナスポイントかも。
入出力は2in2out
「IRIDIUM」は1in2outでしたが「Dream ’65」は2in2outの仕様になっています。そのため、ステレオで入力したい場合はUAFXシリーズの方が手軽ですね。
結局「Dream ’65」と「IRIDIUM」のどちらを買うべき?
「Dream ’65」がおすすめな人
- アンシミュの設定は固定かプリセット1つあれば足りる
- Deluxe Reverbが好き!
- 一緒に歪みエフェクターやブースターを使いたい
- キャビネットシミュレーターのクオリティに拘りがある、既存の製品やIRに不満がある
- I/Fやミキサーなどに繋げて使うので本体にPhoneアウトがなくても平気
- 単体のキャビシミュとして使う必要がない
- とにかく高音質、高再現度のアンプシミュレーターが欲しい
「IRIDIUM」がおすすめな人
- MIDIでコントロールがしたい
- 複数のアンプモデルを使い分けたい
- 歪みエフェクターや前段でのブーストは不要
- 既にお気に入りのIRがあり、それで満足している
- 本体だけで手軽にヘッドフォンで練習がしたい
- 単体のキャビシミュとして使う必要がある
- ステレオアウトでキャビシミュのON/OFFを別々にしたい(Lはアンプのリターン、RはPAなど)
まとめ
良いところ
- キャビネットまで含めたアンプ全体としてのサウンドや反応性は、既存製品の中で最高レベル(個人的にはIRIDIUM以上)
- 操作がシンプルで分かりやすい
- キャビネットシミュレーターのクオリティが非常に高い
- そこそこコンパクトなサイズでボードにも組みやすい
- 歪みエフェクターやブースターを繋いだ際の反応が他社と比較してリアル
- Spring Reverbも高品質
- プリセット切替えの音切れ無し
気になるところ
- 電源選びがシビアで、起動しなかったりノイズが出たりする
- キャビシミュのみでの利用ができない
- 起動が遅い(14~5秒くらい)
- ステレオアウトだがキャビシミュはLR両方ONか両方OFFしか選択できない
追記(2023/05/29):機材整理をしてから最近試したところ、電源の品質に以上に敏感であることがわかりました。BOSS PSA-100では起動しない、または音が出ない。KIKUTANI / KIP-001では酷いノイズが出るという有様です。Strymonのパワーサプライ、BOSS GT-1000COER付属のアダプターなどは問題ありませんでした。ちなみに、メーカーが言っている要件はこちらです。
音評価:4.5/5点
総合評価:3.5/5点
総評としては、色々と痒いところに手が届かない部分はあるものの、サウンドのクオリティや再現度は現在販売されているアンプシミュレーターペダルの中でもトップレベルだと思いました。
特にラインサウンドでの良さは一聴の価値ありです!
以上、今回も読んでいただきありがとうございました!
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