【レビュー】最強のリアクティブロードは?BOSS vs Universal Audio

皆さん、お久しぶりです。

私はだいぶ前にBOSSのTube Amp Expander(以後TAE)を購入したのですが、ずっとUniversal Audio OXの方が良かったのではないかという悩みを抱えていました…

ということで、この度買ってしまったので今回はリアクティブロードの比較記事です。

わざわざ2つとも買うおバカな人は少ないと思うので参考になるんじゃないかと思います笑

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「リアクティブ・ロード」とは

まず、真空管アンプはスピーカーを繋がずに使うと壊れてしまいます。(詳しくはググってみてね)
その対策として、スピーカーの代わりに抵抗となりアンプを守るダミーロードというものが使われてきましたが、ただの抵抗ではキャビネットスピーカーと真空管アンプの間で起こる相互作用を再現できないという問題がありました。

そこで、もう少し複雑な回路でよりキャビネットスピーカーに近い動作を再現したのが「リアクティブ・ロード」というものです。

アンプとスピーカーの相互作用については、BOSSのHPで詳しく解説しているので読んでみてください。→WAZA TUBE AMP EXPANDER

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BOSS TAEの特徴

リアクティブ・ロードのインピーダンスが可変

通常のリアクティブ・ロードでは固定値のインピーダンスを、TAEではResonance(低音)とPresence(高音)に分けて、それぞれ4段階で可変が可能です。

これは、通常のリアクティブ・ロードがある一種類のスピーカーに接続した状態を再現しているだけなのに対して、TAEは色々なスピーカーに接続した状態を再現できるという意味です。現状、このような機能を備えているのはBOSSだけだと思います。

→訂正(2022/10/26):FRYETTEのリアクティブ・ロードにも同等の機能がありました。(こちらは高域、低域それぞれ3段階)

・OXは固定値

100Wパワーアンプ内蔵

リアクティブ・ロードには、キャビネットスピーカーから音を出すためのスピーカーアウトが付いている場合が多いです。

そして、大抵はアンプの出力をスルーしてそのまま出すパターンと、間にアッテネーターを噛ませてあって音量が下げられるようにしてあるパターンのいずれかです。

しかし、それに対してTAEはアンプからの出力を一度下げてから、内蔵している100Wパワーアンプで増幅する仕組みになっています。

これにより、他社よりも音質変化を少なく、無段階でスムーズな音量調整が可能とのこと。

また、逆に出力が小さいアンプをTAEのパワーアンプで大きな音にすることもできます。他社ではFRYETTEが真空管パワーアンプを内蔵していますね。

・OXはパワーアンプ無し、アッテネーター付き。

センドリターン機能

TAEに接続することで、アンプにセンドリターンを追加することができます。これによって、センドリターンの無いアンプでも、アンプで歪ませた音の後ろにエフェクターをかけることができますね。

どうしても、センドリターンが無いアンプならではのサウンドというのはある気がするので、これは便利な機能だと思います。

また、リターンにプリアンプ等を接続すれば単純なパワーアンプとしても利用できたり、TAEのキャビネットシミュレーターを利用できたりと地味に便利です。

・OXはセンドリターン無し。

オーディオインターフェース機能搭載

TAEはオーディオインターフェースとしても使えるためPC、アンプ、TAEがあればギターレコーディングが可能です。これも現状ではBOSSだけだと思います。

また、この機能があるのでUSB経由のレコーディングも可能です。配線がUSB一本で済むのは楽で良いですね。それにAD/DAもせずに済むので、これもメリットでしょうか。

・OXはオーディオI/F機能無し。

MIDI、AMP CTLなどでの外部機器操作

TAEはMIDIのIN/OUTとAMP CTL端子が付いており、TAEでMIDI機器のコントロールやアンプのチャンネル切り替えなどが可能です。

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Universal Audio OXの特徴

キャビネットシミュレーターが高機能(IRは利用不可)

スピーカードライブ機能

スピーカーの経年変化を再現する機能で、下げた場合は新品に近くなり高音がしっかりと出たサウンドなのに対して、値を上げていくとより柔らかくスポンジーなサウンドになるとのこと。

Softubeのキャビネットシミュレータープラグインなどにも搭載されていますね。

・TAEには同等機能無し。

キャビネットMIC2本を自由に選択可能

マイクはShure SM57、Sennheiser MD421、Royer Labs R-121、beyerdynamic M160、NEUMANN U67 、AKG C414とDI(キャビシミュ無し)の7種類で、これらを2本まで自由に組み合わせ可能

また、一本ごとに音量、ローカット、ON/OFF AXIS切り替(マイクの角度)、EQ、PANの調整が可能。しかし、マイクの距離、位置は変更不可(UAのベストポジションで固定とのこと)

・TAEではShure SM57、Sennheiser MD421、AKG C451B、Royer Labs R-121、NEUMANN U87 、FLAT(スピーカーから出てきた音を直接聴いている音を再現)の6種類と、マルチマイクはSM57+R121の組み合わせのみでSM57強め、同等、R121強めの3パターンのみ。加えてIRを32個保存可能

・TAEではマイクの距離は3段階、マイクの位置は11段階で調整可能

ルームマイク

リボンマイクとコンデンサーマイクの組み合わせで、ステレオ2パターン、モノラル4パターンの選択と音量調整、DAMP ON/OFF(オンで低音の反響を抑える)、ローカット、EQ、PANの調整が可能

・TAEはOFF、SMALL ROOM、MID ROOM A・B(反響強め・弱め)、LARGE ROOMの5種類で、マイクの選択やミックス量の調整は不可

その他の機能比較

インプット

インプット:TAEは真空管アンプのスピーカーアウト接続用端子と、リターン端子、OXは真空管アンプ用のインプットのみ。TAEの方が使い道は広い。

アウトプット

TAEはラインアウト(XLR)×3(一つはPAミキサー向けでレベル固定)、USB(レコーディング時)、センド、スピーカーアウト×2、ヘッドフォンアウト×1

OXはラインアウト(TRS)×2、S/PDIFアウト(TOSLINK、同軸)×2、スピーカーアウト×1、ヘッドフォンアウト×1

・OXなんて明らかにレコーディング機器なのに何故TRS端子にしたのか理解に苦しみますね…、あとS/PDIFでデジタル出力できるのは利点ですが、サンプルレートは44.1kHzと一昔前の性能なのはお粗末…

・OXではヘッドフォンアウトが前面にあるのに対して、TAEでは背面にあるのが地味に不便ですね。

音量調整

TAE:無段階調整

OX:ミュート+5段階のアッテネーション

色々なところで既に言われていますが、キャビネットスピーカーから音を出すのがメインの目的なら間違いなくTAEを選ぶべきです。

・OXはただのアッテネーターなのでミュートと5段階の調整ができるだけ。しかも1→2で急に音が大きくなるので家庭においては実用性がほぼ無し…この間が欲しい…

・OXはDivided by 13のような音のでかいアンプの場合、アンプで歪ませたかったらアパートとかだと難しいかもしれません。結局、音量を下げるなので最終的な音量自体はアンプのボリュームに左右されるのがアッテネーターの弱点ですね。TAEでも極小音量の調整はやはり難しいですが、OXと比べると遥かにコントローラブルで実用的です。

ラックマウント

TAE:ラックマウント金具付属、ラックマウント可

OX:ラックマント不可

・OXも商品のコンセプト的にはできて然るべきでは…

コントロールアプリ

TAE:PCとUSBで接続

OX:無線で接続(PCとOXが同じセグメントのNWにいれば接続可)

・OXは、OXの無線にPC or iOSを接続→無線設定→OXと同じ無線に接続したPC or iOSで操作という流れでやや面倒。無線の使えるPCかiOSの機器が無いと詰むので注意、あとUSB端子があるのにUSBでは接続できない…

シグナルチェーン

TAE:アンプ出力 → コンプ → ディレイ → リバーブ → EQ → キャビシミュ

OX:アンプ出力 → キャビシミュ(EQ) → ルームマイク(EQ) → EQ → コンプ → ディレイ →リバーブ

・TAEはアンプのセンドリターンにエフェクトをかけた場合、OXはミキサーでエフェクトをかけた場合を再現しているようです。ここも思想の違いですね。

エフェクト

TAE:コンプ(2種類)、ディレイ(5種類)、リバーブ(6種類)

OX:コンプ、ディレイ、リバーブすべて1種類ずつだけ

・TAEもBOSSなだけあってエフェクトのクオリティは高いと思います。OXの方は少しわざとらしく感じなくもないですが、UAのセンスが良いのでそれが良いって感じですね。ただ、OXは値の細かい調整がやり辛かったり、設定値が見えなかったりとTAEの方が操作性に優れています。

サウンドサンプル

録音環境:I/F → Radial X-AMP(リアンプDI) → ÷13 SJT10/20 → TAE or OX → oz design OZ-262(Comp OFF) → I/F(ギターはFenderCS ’52Telecasterのハーフトーン)

キャビネットシミュレーター比較

できるだけ近いキャビネットモデルで比較して、マイクはSM57+R-121で統一しています。また、Plate ReverbはそれぞれTAE、OXに内蔵されているものです。

TAE:Tweed 1×12
OX:Tweed 1×12
TAE:Tweed 1×12+Plate Reverb(TAE)
TAE:IRを使用した場合。TweedがなかったのでDeluxe Reverb 1×12+Plate Reverb(TAE)
OX:Tweed 1×12+Plate Reverb(OX)
TAE:VOX 2×12+Plate Reverb(TAE)
OX:VOX 2×12+Plate Reverb(OX)
TAE:GreenBack 2×12+Plate Reverb(TAE)
OX:GreenBack 2×12+Plate Reverb(OX)

前半のカッティングにドラムとベースを加えたもの

TAE
OX

・全体的にOXの方が明瞭感が強い印象ですね。TAEの方は全体的に野暮ったく聴こえますが、これも好みの問題でしょうか。

・OXでIRが使えないことが気になる方もいると思いますが、高品質のキャビシミュは既にIRを超えていると感じているので個人的には気になりません。昔のキャビシミュがまだしょぼい時代ではIRは革新的でしたが、そろそろIRの表現力に限界を感じている方も増えているんじゃないでしょうか。

リアクティブ・ロード比較

次に、リアクティブ・ロード自体の品質比較として、TAEとOXのキャビシミュはOFFにしてDAWのAmplitube5のキャビシミュをかけた音源です。

TAE:Amplitube5
OX:Amplitube5

TAEの方がサウンドに輪郭、締りがある印象で、OXはややメリハリが無いというか、焦点の定まっていないサウンドな印象ですね。

スピーカーアウト

録音環境:I/F → Radial X-AMP(リアンプDI) → ÷13 SJT10/20 → TAE or OX → oz design OZ-262(Comp OFF) → I/F(ギターはFenderCS ’52Telecasterのハーフトーン)

最後にスピーカーアウトの比較です。

TAE
TAE:フレッチャー・マンソン曲線ON(人間の耳は音が小さくなるほど高音域や低音域を感知し辛くなるので、出力に合わせてそれを補う機能)
OX:Volumeは0~5の1

小音量の比較では比べるまでもなくTAEの圧勝ですね。小音時に高域、低域を補う機能もいい感じです。ただ、OXのVolume 2以上など大きな音では個人的にはOXの方が自然に感じました。(ただしアパートや住宅地ではほぼほぼ無理…笑)

まとめ

いかがでしたでしょうか?

総評としては、TAEの方が後発な分、機能的にはあらゆる面で勝っているといっても過言ではないですね。また、ライブでの用途も考えて開発されているのも特徴かと思います。(FRYETTEのアイデアをパクリながらBOSSの得意なデジタル技術を盛り込んだ感じですね)

リアクティブ・ロードの値の可変などは革新的だと思いますし、リアクティブ・ロードの品質自体でもTAEが勝っている印象です。

しかし

Universal Audioのキャビネットシミュレーターはやっぱりレベルが高い…

ほんと、TAEの方があらゆる面で優れているんです、キャビネットシミュレーター以外は…

正直、TAEがOXに人気で明らかに負けているのって、ブランドイメージのおしゃれさもあるでしょうが、ライン録音(キャビシミュ)の品質が足を引っ張っているというのがめちゃめちゃ要因として大きいと思うんです!

しかし、BOSSのキャビシミュはライブには良いという評判も聞くので、BOSSのライブ志向とユーザーのREC志向というすれ違いがあるのかもしれませんね…

結論としては、家で真空管アンプの音をキャビネットSPから出して楽しみたい、ライブでも使いたいという方はBOSS、ラインレコーディングをメインの目的にする方はOXがオススメです。

以上、今回もありがとうございました!

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