皆さん、こんにちは。
今回はDAWで使えるキャビネットシミュレータープラグインの比較をしていきます。
比較するプラグイン
Ignite Amps NadIR(無料)
HP:https://www.igniteamps.com/#nadir
フリーのプラグインです。
Ignite Ampsは昔からフリーのアンプシミュなどで有名ですね。
こちらはフリーのシンプルなIRローダーです。オリジナルのIRファイルも付属していますが、基本的には自分で用意したキャビネットIRを読み込ませて使います。
同時に読み込めるIRは2つまで。
昔からあるIRローダーですが、いつの間にかUIが新しくなってましたね。ブラウザ機能がついていたりと、使い勝手もそこそこ良いです。
Neural DSP Archetype Plini (有料)
HP:https://neuraldsp.com/plugins/archetype-plini
価格は15,000くらい(119 ユーロ)
Neural DSPといえば、ハード型アンプシミュレーターのQuad Cortexでとても話題になったメーカーさんですね!そして、実は元々、アンプシミュレータープラグインの出来が良いということで有名なメーカーでもあります。
Archetype Pliniはクリーン、クランチ、リードの3chアンプとキャビシミュ、グラフィックEQ、エフェクターがセットになったアンプシミュレーターです。キャビシミュも付いているので、バリエーションとして4×12だけですが今回入れてみました。
Two Notes Wall of Sound(有料)
HP:https://www.two-notes.com/en/torpedo-series/torpedo-wall-of-sound/
価格はキャビモデル8個付属のEssential版で9,000円(80ドル)くらい、2021/10/09時点ではセール中で4,400くらい(39ドル)
追加キャビモデルは一つ1,120円くらい(10ドル)
Two NotesのWall of Soundといえば、昔からあるキャビシミュのド定番プラグインです。
また、Two Notesはハードのキャビネットシミュレーターも販売していますね。
珍しい特徴としてパワー管のエミュレート機能が付いています。これによって、プリアンプ+Wall of Soundでの録音も可能なので便利ですね。(何度も言いますがプリアンプ+キャビシミュだけでは(ry)
他にもEQ、エキサイター、コンプ、ルームリバーブも付いていますので、これ一つでポストプロセスまで完結するというのがコンセプトのようですね。
IK Multimedia AmpliTube 5(有料、フリーもあり)
HP:https://www.ikmultimedia.com/products/amplitube5/
価格はSE版で19,500円くらい、通常版で26,000円くらいです。フリー版もあり、こちらでもアンプ6モデル、キャビは7モデル他が使えます。各エディションごとで使えるモデルはHPから確認できます。
追加のキャビモデルは1,300円くらい(9.99ユーロ)、ちなみにアンプは3,300円くらい(24.99ユーロ)
キャビネットを買うと、そのキャビネットのデフォルトのスピーカーが同時にアンロックされ、別のキャビネットでも使えるようになる仕組みになっています。
こちらも昔から定番のアンプシミュレータープラグインですね。
正直、AmpliTube 4までは見向きもしていなかったのですが、5になってキャビシミュのクオリティが思いのほか向上していたため比較に入れてみました。
なんと、スピーカーごとに600以上のIRを収録し組み合わせることで、マイク位置による自然な変化を再現しているとのこと。
こちらはアンプシミュレーターとして、アンプ、キャビ、エフェクター、プロセッサーまでまとめて処理することができます。
IK MultimediaはT-Racksシリーズでラックプロセッサー系のプラグインなども沢山開発しておりますので、プロセッサー部分のクオリティも高いと思います。
サンプル音源
下記、環境で録音した音に、各キャビシミュをかけて録音しています。ギターはFenderCS ’52Telecaster
I/F(RME UCX) → Radial X-AMP(DI) → Divided by 13 SJT10/20 → BOSS TAE → (OZ-1000mobile(マイクプリ)) → I/F(キャビシミュ+ルームリバーブ+コンプを薄っすらと)
マイクモデルはSHUREのSM57とコンデンサーという組み合わせで統一しています。
2×12 オープンバック
1×12 Fender系
4×12 Marshall系(Vintage30)
感想
Ignite Amps NadIR
これに関してはプラグインというよりもIRのクオリティ次第ですね。OwnHammerのIRは評価高いだけあって単体で聴く分には十分にも思えるのでが、他と比べると箱鳴り感や反響音のような要素が弱い印象です。
キャビネットや部屋の反響などの複雑な要素をIRのみで再現するのは難しいみたいですね。
もちろん、フロアマイクやルームマイクなどの色々な位置から録音したIRを組み合わせることも可能ですが、それでもやはり再現には限界がありますね。
Good!
- 無料のIRローダーが各社から出ている
- 処理負荷が軽い
Bad…
- 箱鳴り感などIRでは再現が難しい部分がある
Two Notes Wall of Sound(以後WoS)
キャビシミュの老舗なだけあってツボは抑えている印象です。IRに比べると音に厚みを感じるのではないでしょうか?
AmpliTubeと比べるとやや湿った感じのサウンドですね。また、スピーカーの直接音と箱鳴りの割合でいうと、直接音寄りな気がします。
UIがやや古臭いところや、スピーカー1つに対してマイクは1台という構成のため、マイクを複数立てる場合、マイクごとに画面を切り替えて設定を調整する必要があるのは面倒ですね。
あと、これによる弊害として、違うSPを載せた2×12のキャビなどは、2つ分購入しないと行けないんですよね…
また、ビジュアルエディターで画像内のマイクを直接動かして操作することもできるのですが、イマイチ操作性が良くないです。
Good!
- IRに比べて深み、厚みのあるサウンド
- パワーアンプシミュ機能
- スピーカーコーンの痛み具合の調整が可能
- リアマイクも設定可能
- 有料だがキャビネットの種類は450以上と豊富
Bad…
- UIの使い勝手がイマイチ
- マイク位置の調整が距離と角度のみ
- 4発キャビの場合、下側のSPでマイキングが固定
- キャビとスピーカーの組み合わせは固定
- Divided by 13など違うSPの載ったキャビはSPの数だけ購入する必要がある
- ビジュアルエディターが使いづらい
IK Multimedia AmpliTube 5
Amplitube 5でアンプ部も改善されましたが、キャビネットシミュレーターもかなり良い線いってますね。
WoSに比べるとカラッとしたサウンドで、箱鳴りが強めの印象です。こちらの方がサウンドにより奥行きも感じますね。
また、WoSよりもUIが洗練されています。特にビジュアルエディターの出来が良く使いやすいので、自分の欲しいサウンドへ持っていくのが楽です!
マイク位置は外側、内側(もう一つのSP寄り)、さらに上下まで調整が可能です。もう片方のSPの干渉や、位置の上下でもサウンドは変わるので、音作りの幅はAmpliTubeの方が広いですね。
WoSでは難しいクリアな音も出せますし、ややこもり気味の迫力のある音も出せます。
マイクをキャビから離せる距離はWoSより狭いですが、必要十分だと思います。(むしろTwo Notesが無駄に広い)
Good!
- IRよりも奥行きのあるサウンド
- UIの出来が良い(特にビジュアルエディター)
- マイクの位置が柔軟に設定できる
- キャビネットだけでなくSPもそれぞれ変更可能
- キャビ1台につきマイク2本を立てられる(最大4台、8本)
- ルーティングやエフェクト、プロセッサーが充実している(有料版の機能)
- 無料でも最低限の機能は使える
Bad…
- アンプシミュレーター等も含む分、価格は高め
- リアマイクは設定できない
終わりに
今まではアンプシミュレーターとIRの組み合わせで十分かと思っていましたが、改めて比べてみるとIRでは物足りなく感じるようになってしまいました笑
大体のアンプシミュでは精々、LRでIRを一つずつ読み込むのが関の山なので、今後はキャビネットシミュレーションにも力を入れて欲しいところですね。GT-1000やHelixなど現行の内蔵キャビシミュはまだまだレベルが低いので…
操作性やSP選択など使い勝手が良いことやサウンドの奥行き感などで、比較したプラグインの中ではAmpliTube 5が一番おすすめです!
是非セールの時期を狙って導入を検討してみてください!
普段からアンプシミュで宅録などをされている方は、キャビシミュはDAWでかけるようにすることで録り音の向上が見込めるかもしれません。
それでは、今回もありがとうございました。
コメント