皆さん、こんにちは。
最近になってKemperのプロファイリングについて改めて発見があったので皆さんにも共有しておきます!
基本的なプロファイリングのやり方については、公式の日本語マニュアルを参照してください → https://www.kemper-amps.com/downloads/5/User-Manuals
①マイクは複数本使ったほうが良い?
ギターレコーディングでSM57とR121などの組み合わせでマイクを複数本立てることがあります。そこで、Kemperのプロファイリングでもマイクを複数本使ったほうが良いのではないかと考える方もいるかと思います。
この件に関しての個人的な意見としては、基本的にマイクは1本の方が良いと思っています。
位相の問題
これは通常のレコーディングでも同じですが、マイクが複数本になる場合には位相の問題が出てきます。
ここで言う位相問題とはつまり、マイクとアンプの距離の差によって、録音される音のタイミングにズレが起きることを指します。
位相がズレることによって発生する問題は検索していただくとして、要は位相による問題がプロファイリングに悪影響を及ぼすことは想像に難くないということですね。
このようなマイキングについてはかなり技術のいる分野ですので、プロや、そのような人の助けを借りられるような人以外は、位相問題の発生しないマイク1本でのプロファイリングの方が安定した結果が出ると思います。
音の変化要因
マイクを複数本使う場合、基本的にはオーディオインターフェースやミキサー等を使用することになります。
そうすると、そのような機器を通ることによる音質変化が加わってくるため、クオリティを考えればできるだけ質の良い機器を使う必要が出てきますし、音質に関しても考慮しなければならないポイントが増えるため、基本的にはそのような機器を必要としないシンプルな構成でのプロファイリングが望ましいと考えています。
かかる手間とメリット
そもそも、マイクを複数本立てきちんとマイキングしたからといって、1本でマイキングする場合より必ず良い結果になるかというとそうでも無いと思っています。
マイクを複数立てると周波数特性が均され、一見(一聴?)よく聴こえたりもするのですが、ダイナミックマイク1本に比べて音の前に出てくる感じが損なわれる印象があります。
キャビネットモデルの作成には有用(2020/09/07追記
しかし、リグのアンプ部分のクオリティに関しては上記の認識なのですが、Kemperの生成するキャビネットモデルに関してはマルチマイクの恩恵があるかもしれません。
個人的にはアンプ部を前に出てくるサウンドでプロファイリングしようとすると、キャビネットモデルに空気感が無くなり過ぎる傾向にあると感じます。
そのため、アンプ用とキャビネット用で分けてプロファイリングを行い、キャビネット用の場合のみマルチマイクでリッチな音を作ったりというやり方もありかもしれません。
まとめ
ご自分でKemperのプロファイリングをする場合、スタジオなどを借りて限られた時間で済ませなければならないという場合が多いかと思います。
そのような状況で、よりクオリティの高いプロファイルを作成したいと考えた場合、マイク1本でそのマイクの位置等を試行錯誤したり、アンプ側のセッティングを追い込むことに時間をかけた方が良い結果に繋がる可能性が高いと思います。
②マイキングによる音の違い
Kemperでプロファイリングする際に悩ましいのが、マイキングの位置でも結果が変わってくるということです。
そこで、同じ設定のアンプでマイクの位置だけを変えてみて、どのような違いが出るのか確認してみました。
比較音源 グリルからの距離
※マイクを離すにつれゲインも下がるようで、ピークが立つようになり、グリルから1cm、2cmの音源は少し音量が小さくなってしまっています。
マイクを離すにつれ音が遠くなっていく印象でしょうか。思ってたより素直な変化でした。
ベタ付けではバキバキ過ぎると感じる時に0.5cmくらい離してみるとかも良いかもしれませんね。
比較音源 スピーカー中心からの距離
中心から離れるにつれて角がとれていく感じでしょうか。こちらも通常のレコーディングと近い変化をしている印象ですね。
まとめ
想像していたよりも、普通のギターレコーディングと同じ傾向が出て驚きました!
個人的にはキャビ出し前提であれセンター寄りのマイキングが良い印象ですが、皆さんも用途に合わせて色々試してみてください!
ちなみに、音源ではIRのキャビネットシミュレータを使用していますが、Kemperのキャビネットモデルに関しては、ある程度離して空気感をシミュレートできるように意識した方が良いかもしれません。
また、可能であればマイクをミキサーなどに繋いで、どのような音で録れているかを確認してからプロファイリングできれば理想的ですね。
③マイクプリアンプは使ったほうが良い?
有料RIGを販売しているサイトなどで、高価なマイクプリを利用していることをアピールポイントにしてることがあります。
実際、高級なマイクプリアンプを使用することに意味はあるのでしょうか?
ということで、ありがたいことに知り合いの方からUniversal Audioの6176という真空管マイクプリアンプをお借りすることができたので、SM57と組み合わせてプロファイリングをしてみました。
結果としては、Kemperの中域のモゴモゴした感じの癖が減り、より輪郭のはっきりしたクリアな音でプロファイリングできたように感じています。
この変化に対する個人的な見解として2つの可能性を考えています。
参考:Universal Audio HP → https://www.uaudio.jp/hardware/6176.html
マイクプリアンプの性能・音質
今回お借りしたUA 6176がクリアな音質のプリアンプのため、その影響でクリアな音にプロファイリングできた、またはKemperのプリアンプではSM57の性能を引き出せていなかった、というのが一つ。
インピーダンスマッチング
プロファイリングにも一番多く使われているであろうSM57ですが、こちらの出力インピーダンスが150Ω(※1)なのに対して、Kemper Stageのリターンが100kΩ(※2)と、適正値の1.5kΩ(※3)からは離れています。
この不整合によって生じた中域のモゴモゴした感じが、マイクプリアンプを使うことで抑えられたというのがもう一つの可能性です。ちなみに、今回使用したマイクプリではマイク向けのインピーダンスとして500Ωと2kΩの2つの値が選択可能なのですが、2kΩでプロファイリングした方がより張りのある音でリグを作成できました。
しかし、これでマイク→プリ間のインピーダンスマッチングはとれますが、マイクプリ→Kemper間のインピーダンス差がまだあるので、もしかしたら的外れなことを言ってるかもしれません…
- ※1:310Ωという情報もありましたがソースを確認できず
- ※2:ちなみにKemper Head、Rackの場合は825kΩ
- ※3:UAのマニュアルによると、マイクの出力インピーダンスの10倍がマイクプリの入力インピーダンスの目安とのこと
比較音源
まとめ
マイクプリアンプを通すことでプロファイリングの結果に影響が出ることは分かったのですが、詳しい原因については私の知識では分かりませんでした…
個人的な感想ですが、Kemperで弱く感じていた音の輪郭を補うことができるという点で、特にライン録音用途のリグに関しては、今後も可能であればマイクプリアンプを使ってプロファイリングを行いたいと思いました。
今回一つのマイクプリアンプでしか試せていないため、他のプリアンプを試した方などがいれば感想を教えていただけると嬉しいです!
④プロファイリングは爆音でやらなきゃダメ?
プロファイリングはライブ時のような音量で行わなければならないのでしょうか?
今までスタジオでの爆音プロファイリングの経験しかなかったのですが、最近BOSSのTube Amp Expandar(TAE)というリアクティブロードを購入しまして、こちらを使用して自宅音量でプロファイリングしてみました。
環境はアンプ→TAE→キャビネット→SM57→UA 6176(EQ等の補正は無し)→Kemper Stage (キャビは同じIR)です。
比較音源
以前プロファイリングした際のセッティングを覚えておらず、耳で近そうなセッティングに合わせただけなのでセッティングによる差もあるかとは思いますが、そこまで大きな違いは感じないのではないでしょうか?
もっと、音の押し出し感や大音量で鳴らした際のパツパツ感のような部分で差が出るかと思ったのですが、意外とそうでもありませんでしたね。
まとめ
高性能なリアクティブロードなど、小音量で大音量時の音質を再現可能な機器が必要になるのが前提にはなりますが、一軒家で鳴らせる程度の音量であれば十分プロファイリングできそうです。
終わりに
Kemperのプロファイリングは奥が深いですね…また新しい発見があればここに追記していきたいと思います。
これが何か皆さんのお役に立てば嬉しいです!
それでは、今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
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